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作文と小論文との違い


 『作文』は自身の体験を通しての考えの変化(大げさに言えば現状認識の変化)や、時系列を明確にし文章に物語性を持たせることで、 読み手の共感を得ることもできる、いわば小説のような文章です。 それなりの技巧も必要でしょうが、特に決まりもなく自由度の高い文章です。

例として、一時問題になった「野良猫への餌やり」について『作文』と『小論文形式』の文章を書いてみました。

 ◎「野良猫への餌やり」についての作文

作文は 『体験』 と『 感想』で構成される


【作文】 野良猫たちに餌をやる人

 昨日の夜、近所の公園の前を通りかかると、野良猫に餌をやっている人がいました。猫たちは、その人にまとわりつき、もらった餌をがつがつと食べていました。その人はしばらく、その様子を満足そうに眺めていましたが、私に気づくとあわてて立ち去って行きました。
 この公園では猫への餌やりは禁止されています。猫の食べ残しが腐ったり、砂場にフンをしたりして不衛生ですし、公園の近くの家の庭を荒らしたりして、苦情もあるのでしょう、『野良猫に餌を与えないでください』という看板も出ています。その人は、野良猫たちをかわいそうに思って餌をやりに来ているのでしょうが、そのことで迷惑をしている人たちもたくさんいるのです。私は、ルールを無視して猫たちに餌を与えるその人の無責任さに腹が立ちました。
 しかし、猫に罪はありません。生きていくためには食べなければなりせんし、フンだってします。好きで野良猫になったのではありません。身勝手な人間の都合で捨てられて、仕方なしに野良猫になってしまったのです。もし、「ルールを破って餌を与える人」がいなければ死んでしまうのです。私は少し複雑な気持ちになって家に帰りました。

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それに対して『小論文』は、なんらかの事柄に対して、自身の考えを 白か黒であるかを根拠を述べてはっきりと表現する文章です。 主張した意見の可否はほとんど問題とされません。 それに至る論理≒(結局は形式)の可否が問題とされます。

 ◎「野良猫への餌やり」をテーマにした小論文の例

小論文は 『意見』 と 『論拠』 で構成される


【小論文】 《野良猫への餌やり》 反対の意見

野良猫には餌を与えるべきではない。最近、公園で猫に餌を与えている人を見かけるが、野良猫に餌を与えると猫はその近隣に居つき、公園の砂場にフンをしたり、近くの家の庭を荒らしたりして周辺の住人に迷惑を及ぼす。公園の砂場は子ども達が砂遊びをする場所だ。そこに猫のフンがあると、子ども達はそれと知らずに素手で触ってしまったり、幼い子どもなどは口に含んでしまうかもしれず、不衛生極まりない。また、近所には庭木を大切に育てている家もあるだろう。それを猫に荒らされてはたまらない。猫に餌を与えている人たちは、その行為が与える周辺の人々への迷惑や被害について考えるべきだ。
 もちろん、猫に罪はない。人間の身勝手な都合で捨てられてしまったが、彼らも生まれた以上は食べていかねばならず、フンもするだろう。そういった猫たちを気の毒に思い、餌を与えに来る人の気持ちも分からないではない。しかし、その行為は単なる自己満足に過ぎないのではないだろうか。本当に野良猫をかわいそうに思うのなら、自分の家に連れ帰って責任を持って飼うべきだ。自分で飼わずに餌を与え続ける限り、野良猫は減りはせず、何の問題の解決にもならないだろう。したがって、野良猫に餌を与えるべきではない。

【小論文】 《野良猫への餌やり》 賛成の意見

野良猫への餌やりは禁止すべきではない。最近、公園などで野良猫に餌を与えることを禁止する看板をよく目にする。しかし、猫に罪はない。人間の身勝手な都合で捨てられ、仕方なく野良猫になってしまったのだ。そしてその存在を迷惑に感じ、餌を与えず排除しようとすることも同じく人間のエゴである。彼らも生まれてきた以上は何かを食べなけらば生きていけず、もともとの責任は人間の側にあるのだから猫への餌やりを禁止すべきではない。
 もちろん、猫が砂場にフンをすると、子ども達がそれと知らずに素手で触ってしまったりするので大変不衛生ではある。しかし、砂場の不衛生さの原因は猫だけによるものではない。もともと雨にさらされる屋外の砂場には、雨中に含まれる化学物質、枯葉、他の生物が持ち込む何かしらの雑菌、更にゴミや、時にはガラス片さえ混じっていて危険である。したがって猫のフンの有無に関わらず、公園を管理する側が定期的に清掃すべきものなのだ。また、猫が公園に居つくと近隣の家の庭を荒らし迷惑するという意見もあるが、庭木を荒らすといっても、鹿のように木の表皮を食べて全てを枯らしてしまうわけではない。猫のフンは庭木の肥料になることさえある。庭を荒らして迷惑だと考える人は、単に猫が嫌いで、自宅の庭に侵入してくることを不快に思っているだけだろう。
 人間にとって猫は害獣ではない。野良猫をかわいそうに思い、餌を与えに来る人は猫以外の弱者に対しても気遣いのできる人だろう。猫程度にも寛容になれないギスギスした人ばかりが集まった社会は、人々にとっても住みよい社会とは言えない。 したがって、野良猫への餌やりは禁止すべきではない。

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一番簡単な小論文の書き方(形式の一例)


 テーマ: 【 コーヒーに砂糖を入れることの是非について、あなたの意見を書きなさい 】


【手順】 まず、コーヒーに砂糖を入れることについての思いつく『 メリット 』と
    『 デメリット 』を何個かメモ書きする。(多いほどよい)

  メリット : 少量の砂糖をコーヒー(カフェイン)と一緒に摂取すると、
        集中力や記憶力が向上する。

      : 砂糖(ブドウ糖)は脳の大切な栄養源。

      : コーヒーの苦味を程よく押さえ、飲みやすくなる。

 デメリット : 日本では多くの料理に砂糖が使用され、普段の生活で砂糖を
        摂取しすぎている。

      : 砂糖は大量に体内のカルシウムやビタミン類を消費し、
        それらの不足の原因になる。

      : コーヒーのもつ微妙な風味が消えてしまう。

【書く順序の例】

   A     B     C     D     A

   自説 ⇒ 自説の根拠 ⇒ 譲歩 ⇒ 譲歩の否定 ⇒ 自説
  (意見)

※譲歩……自分の意見と対立すると予想される意見や例外を、前もって自分自身で
     書き、それを否定しておくことで自分の意見への反論を防ぎ、
     自説を補強する方法。

            もちろんC。しかしD。

C: 自分の意見に対立すると予想される意見や例外を予め書いておく(譲歩)
D: Cに反論し自分の意見を更に書く(譲歩の否定)

      Aである。なぜならBだからだ。
      もちろんCという考え方もある。
      しかし、CにはDという(問題・欠点・例外・他)がある。
      したがってAである。

   この形式に、上でメモしたメリット・デメリットを、主張したい意見に応じて
   B・C・Dに当てはめて書く↓

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テーマ: 【コーヒーに砂糖を入れることの是非について、あなたの意見を書きなさい】

※「コーヒーに砂糖を云々……」というどうでも良い個人の嗜好をテーマにして、
 構造を分かりやすくするために上の形式に当てはめて短文で書くと↓


 《砂糖を入れるべきではない》 と言う意見

コーヒーに砂糖は入れるべきではない。なぜなら、砂糖を入れることによって、コーヒーのもつ微妙な風味が消えてしまうからだ。その上、砂糖は大量に体内のカルシウムやビタミン類を消費し、それらの不足の原因になる。
もちろん、少量の砂糖をコーヒー(カフェイン)と一緒に摂取すると、集中力や記憶力が向上するし、コーヒーの苦味を程よく押さえ、飲みやすくもなるだろう。
しかし、日本では多くの料理に砂糖が使用され、普段の生活で砂糖を摂取しすぎている。
したがって、コーヒーに砂糖を入れるべきではない。



 《砂糖を入れるべきだ》 と言う意見

コーヒーに砂糖は入れるべきだ。なぜなら、砂糖はコーヒーの苦味を程よく押さえ、飲みやすくするからだ。その上、砂糖(ブドウ糖)は脳の大切な栄養源でもある。
もちろん、砂糖は大量に体内のカルシウムやビタミン類を消費し、それらの不足の原因ともなるし、コーヒーのもつ微妙な風味が消えてしまうという考え方もある。
しかし、それは入れる量の問題であって、少量の砂糖をコーヒー(カフェイン)と一緒に摂取すると、集中力や記憶力が向上する。
したがって、コーヒーに砂糖は入れるべきだ。



↑上の賛否の文章を見比べると、結論以外の一文ずつは、ほとんど同じです。
配置(メリットとデメリットを入れ替えた部分)が違うだけです。

※注意 小論文の形式が正しいことと、その内容が説得力を持つかどうかは別問題です。

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