個別指導 何人まで?
個別指導は二人が限界
"少人数クラス"、 いまだにこの「少人数」が具体的に何人を指すのか分かりません。
何人が「少人数」なのかは塾によって解釈が様々なのでしょう。
"個別指導"、これもまた曖昧で、一人の先生が一人の生徒に付きっきりで教えるような意味にも取られかねない用語です。
実際に1対1で教える言葉どおりのマンツーマンの「個別指導」もありますから、それ以外は「個別指導2名クラス」「個別指導3名クラス」とか、「先生1人に生徒2人」「先生1人に生徒3人」などと表記して区別しています。
"個別指導"、便利な用語なので私も使っていますが、本当は1対1で教える以外は"個別対応指導" が正確な表現ではないかと思います、些細なことですが。
私の勤めていた個別指導塾は、「1 : 1」の完全なマンツーマン指導、先生一人に対して教える生徒二人の「1 : 2」、同様に「1 : 3 」と 「1 : 4」 の4つのクラス編成がありました。「1 : 4」のクラスは、学校のクラスメイトの仲良しグループが一緒に同じ教科を受けに来るくらいで、ほとんどのクラス(と言っても、テナントビルの一室を細かくパーテーションで仕切っているだけです)が、一人の先生が二人の生徒を同時に教える「1 : 2」の形をとっていました。
こういった指導形態の塾ではどこでもそうですが、この二人の生徒は学年も違えば、指導する教科も違います。一人の生徒に教えている間はもう一人の生徒には課題に取り組ませ、講師は二人の生徒の間を行ったり来たりしながら教えるわけです。
マンツーマンの指導と違い、生徒に関われる時間は半分にはなりますが、集団指導のそれと比べれば、はるかに多くの時間を一人の生徒の指導に費やせます。
また、マンツーマンの授業では、教える側は、一人の生徒だけを見ていれば良いので楽なのですが、生徒にとっては、常に先生に傍らで見られていると、息が抜けずに疲れてしまうという場合もありますので、この「1 : 2」での指導は、理想的な個別での指導形態であるとも言えます。
ところが、これが「1 : 3」のクラスを教えることになると、話が少し違ってきます。
前述のとおり、私の勤めていた塾には「1 : 3」というクラスもあって、時々、そのクラスを受け持たされることがありました。
この生徒3名が同じ学年で、同じ教科を教えるのなら何の問題もありませんが、3名とも学年も別、教える教科も別となると、授業の進行に支障が出てきます。
「1 : 2」のクラスで、生徒に関われる時間が2分の一なら、「1 : 3」のクラスでは、生徒に関われる時間が3分の一になるかと言うと、そうはなりません。
3名の中に本来ならマンツーマンで指導を受けたほうが良いと思われる生徒が1名いると、授業がスムーズに進みません。
集団指導でも同じことですが、あちらは講義形式なので、(授業時間中は)放って置いても (?) 問題ありませんが、個別に指導しているわけですからそうもいきません。そうすると、おのずとその一人の生徒だけに関わっている時間が多くなり、3名ともに公平な時間配分で教える事ができず、他の2名の生徒が割を食うことになります。
「1 : 2」のクラスならば、たとえ片方の生徒がそのような生徒であったとしても、不思議と2名に対して公平な時間配分で指導できる余裕が生まれます。
ですので、こういった指導形態(学年も教科も進度も違う生徒を同時に教える)では2名あたりが限界なのではないかと考えています。
ただこれは、生徒の学年が別で、教える教科も別だった場合の話です。
生徒が全員同じ学年で、教える教科も一緒で、同じ進度、常に同じ部分で間違えてくれれば、理屈の上では、生徒が何十人いても教える事は可能でしょう。
そうなると、もはや「講義」であって「個別指導」とは言えませんが。